月刊子どもの文化・研究子どもの文化
2023年11月号
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2023年11月号
迷惑動画や国会議員の不適切な投稿などSNSから広がる波紋が話題に上った1年でした。それでもなぜ人は「投稿」したくなるのでしょうか。明治時代からさかのぼり、「投稿文化」に見られる心理と現代の「投稿文化」に見られる特徴をそれぞれの専門家の立場から論じます。
2023年10月号
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2023年10月号
このところ子どもの安住の場であると思われていた「家庭」が揺らいでいる。夫婦別姓問題、LGBTの結婚制度、一人親家庭の貧困、宗教2世虐待、家庭教育を支援する条例制定、カルト団体の選挙介入等々。あまりに議論百出で何が何だかわからない。何しろ、こどもを真ん中にすえた初の中央省庁だったはずの「こども庁」は、いつの間にか「こども家庭庁」に替えられてしまった。そこで、そもそも「家庭」とは何であったのかを、さまざまな立場、方法論から検証してみることにした。
2023年9月号
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2023年9月号
自己肯定感の重要性が注目されて久しいが、浜谷直人氏から『自己肯定感』は「育てたり、高めたりするものではない」「仲間にとって自分は価値があり、大切だと思ってもらえていると感じることができるということ」「先生が子どもを褒めることは、自己肯定感を感じることができないクラスになってしまう」という提言を発展させた対談。自己肯定感が感じられる集団の実践例が示され、自己肯定感をとらえ直す特集です!
研究子どもの文化
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紙芝居100年の歴史を刻んだ紙芝居人の歩みとこれからの時代に向けてどう発展させていくのかを問いかける1冊です。高橋五山や上地ちづ子などの足跡を振り返りながら、地域で活躍する紙芝居運動の取り組みや、紙芝居が求められる新たな役割など紙芝居の再発見と魅力にあふれる特集です。
2023年6月号
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2023年6月号
「保育記録」を文学のようにとらえたら、どういう記録が生まれるんだろう。客観的な事実の記録という側面の強い保育記録を、主観的事実ととらえたり、文学作品のように人称をあいまいにしたり、時制をいったりもどったりすることで新しい切り口や子どもの姿が見えてくる。そんな座談会を現役保育者と教育者・小説家が集まってそれぞれの立場から語り合いました。
2023年5月号
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2023年5月号
新型コロナウイルスの感染拡大によるマスクの着用をめぐってはさまざまなトラブルも報道されたが、その一方で感染症収束後もマスクの着用を続けたいと考えている人が一定数存在する。そこには感染防止の意味合いだけでなく、マスクを外すのが恥ずかしいという思いも存在する。マスクを外して人前で顔をさらすのは、人前で下着を外すのと同じ…マスクの顔パンツ化といわれるゆえんである。コロナ以前においても、常にマスクを着用している中高生の存在が話題になった。しかし、この数年の間に、マスク依存的な心情が年齢にかかわらず広がったように思われる。今号ではマスクの顔パンツ化について心理、発達、文化のそれぞれの側面から考察していきたい。
2023年4月号(品切れ)
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2023年4月号(品切れ)
近頃電子音声が生活の場に満ちているような気がする。人の声の力とは何だろう?企画を提示する時に、かつてだったら「そのコンセプトは?」と聞かれたものだが、このところでは「その物語は?」と聞かれるようになって来た。「物語」という語は手触りとか、においまでを求められるような気がする。声はわかった、意味も通じている、だけど声の力は?と問われているようなものだ。タイパ(Time Performance)というコトバが流行っている。どれだけ時間をかけずにコトを成せるか。反対に冗長性というコトバがIT用語にある。一般的には必要最低限なものに加えた余分や重複のことで、無駄の別称だが、IT用語となると、耐障害性を高めるために予備のシステムを用意することを冗長化と言う。冗長は揶揄や無駄ではなく、安全なのだ。音声言語は文字言語に比べておそらく冗長なコトバだろう。今一度その冗長さを見直してみよう。
2023年3月号
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2023年3月号
人間は、どうしても「他者の評価」や「他者の視線」を気にしてしまう。
人間どうし暮らしていく上で、それは必要なことでもある。しかし、「他者の評価」や「他者の視線」を気にする前に、「自分で自分を評価すること」や「自分で自分を見つめること」も大事にしたい。加えて「生産性」や「確実性」で人を評価する前に、「その人の中に、どれだけ多様な「やりたいこと」が生じたのか」とか、「多様な「やりたいこと」を前にして、どれだけじっくりと葛藤したのか」とか、「やりたいけど、できないことを前にして、どれだけ失敗して、挑戦したのか」とか、そういったことで人を評価したい。そんな評価の仕方もアリなんだよ、ということを子どもや若者に伝えるためにも、私自身がそういう生き方を「自分で評価し」てやりたい。
新学期が始まる前に、「評価」について再考する特集です。保育現場から島本一男先生、教育現場からは久保健太先生を迎えて「評価」の持つ本質とその果たすべき役割について迫ります。
2023年2月号
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2023年2月号
1960年代にいっせいに花開くように誕生し、全国に展開していった子どもの文化運動。「子どもたちによい文化、すぐれた芸術を」と、父母や地域住民たちによる自主的・主体的な活動が大きなうねりとなって展開し、全国的な連絡会も設立され、NPO化も進んでいった。
この半世紀に、社会は大きな変貌を遂げた。社会の変化や地域の変化とともに、子どもの文化運動も質的な転換を余儀なくされてきたのではないか。子どもの文化運動がもっていた人とのつながり、育ち合い、共同性は、今どのようになっているのだろうか。子どもと子どもの文化運動の現状をみつめながら、子どもたちの地域での育ちや文化について考えていきたい。
2023年1月号
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2023年1月号
『子どもの文化』2018年2月号の飯倉先生の原稿で、「『鬼』はすべての悪いことを引き受ける、現実には存在しない『悪』そのものとして文化の中でイメージされてきた、虚構の概念にすぎない」という鬼のあり方は『鬼滅の刃』でもそうだ。人にとって鬼は、理解の外の他者というありがちな関係ではない。「『鬼』は『誰か』ではないはずなのだ」と定義した。では、鬼退治とは何だろう?桃太郎の鬼退治にしても、口承文芸(口伝えの物語)では幾つものバリエーションがある。退治も武力だけでなく、「おもてなし」まで入って来そうなのだ。桃太郎の鬼退治の原型だった吉備津彦の温羅退治では、鬼たちは温泉リハビリをしていたという。大晦日から節分まで、鬼やらいの季節に鬼退治を考えてみよう。
2022年12月号
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2022年12月号
1989年の幼稚園教育要領や保育保育指針は「健康」、「社会」、「自然」、「言語」、「音楽リズム」、「絵画制作」の6領域となっていましたが、学校教育のように教科的にとえらえる弊害もあり5領域に変更になりました。5領域は「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5つに分かれていますが、総合的な学びとして遊びや環境を通しての教育に変更になりました。しかし、この時の教科的な捉え方はいまだに続いています。今回の特集ではそのことを踏まえて子どもたちの表現活動(芸術教育)について人権意識を踏まえながら、一人一人の違いや共鳴する喜び、心地よさを大切にした表現の自由について考えてみたいと思います。
2022年11月号
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2022年11月号
出版不況と言われる中、絵本は好調な売れ行きを示している。世代を超えて長く読み継がれている一方で、子どもだけでなく、一定の大人読者の支持もある。1990年代以降、これまでの絵本の枠をやぶるような作品が誕生してきた。絵本は一つの文化として、生活の中に浸透してきているように思う。本特集では、絵本を取り上げ、絵本と文化、絵本と大人、絵本と子ども、絵本とアート、絵本と音楽など、多面的に「絵本」を捉え直してみる。